将来に発生可能性がある費用又は損失を見積り、当期の費用に計上するものです。前提条件は、費用・損失の発生可能性が高く、発生原因が当期以前に生じ、費用・損失の金額を合理的に見積もれることです。会計基準では、主に「徴収不能引当金」「賞与引当金」「退職給与引当金」を定めています。
1. 徴収不能引当金
個別債権と一般債権に区分して計上額を計算し、金銭債権の額から控除します。
① 個別債権
毎会計年度において徴収不可能な債権(事業未収金、未収金等)を個別に判断し、回収不能額を徴収不能引当金に計上します。回収不能な理由は、明確な理由(債務者が行方不明、破産、回収のための費用が債権額よりも大きい 他)が必要です。
② 一般債権
事業年度末の一括評価一般債権の帳簿価額に、過去3年間の徴収不能発生額に基づく実績繰入率を乗じて計算します。
繰入限度額 = 期末一括評価一般債権の帳簿価額 × 徴収不能実績率(注)
※徴収不能実績率の計算方法は、過去3年間の実績率を使用することが一般的です。
※徴収不能実績率の計算方法は、過去3年間の実績率を使用することが一般的です。
2. 賞与引当金・・・計上していない法人が多い[重要性の原則の対象にはなりにくい]
雇用関係に基づき賞与を支給する場合に、翌期に支給する職員賞与で、支給対象期間が当期に帰属する支給見込額を賞与引当金に計上します。
説例
賞与支給対象期間 6月1日~11月30日 ⇒ 12月支給、12月1日~5月31日 ⇒ 6月支給
支給見込額 9,000,000円(見込額です。確定額ではありません。)
決算事業年度に含まれる期間 4か月/6か月
賞与引当金繰入額 9,000,000円×4月/6月=6,000,000円
仕訳 賞与引当金繰入 / 賞与引当金 6,000,000円
※ 6,000,000円の見込額に対応する法定福利費(社会保険料)の見込額を更に繰入れます。
仕訳 賞与引当金繰入 / 賞与引当金 ××××円 概算で構いません。
3. 退職給付引当金
① 原則
都道府県の実施する退職共済制度において、退職一時金制度等の確定給付型を採用している場合は、約定の額を退職給付引当金に計上します。なお、被共済職員個人の拠出金については、その約定の給付額から差し引いた金額を退職給付引当金に計上します。
② 簡便法
・期末退職金要支給額を退職給付引当金として同額の退職給付引当資産を計上する方法
・社会福祉法人が負担する掛金額を退職給付引当資産として同額の退職給付引当金を計上する方法