1. 法人が作成する計算書類は経理規程と一致していますか!

会計ソフトで会計処理出来ても、自らの法人でどの様な計算書類が必要なのかの理解が必要です。貸借対照表だけでも次の様に4種類あります。但し、会計ソフトを使用すれば簡単に出力出来ます。

第一様式とは ⇒ 法人全体の計算書類
第二様式とは ⇒ 法人全体内の「事業区分の内訳」の計算書類
第三様式とは ⇒ 事業区分内の「拠点区分の内訳」の計算書類
第四様式とは ⇒ 拠点区分ごとの計算書類

貸借対照表

[第三号第一様式]法人単位貸借対照表
[第三号第二様式]貸借対照表内訳表 ※事業区分が一つの場合には省略可能

[第三号第三様式]事業区分貸借対照表内訳表 ※拠点区分が一つの場合には省略可能

[第三号第四様式]拠点区分貸借対照表 ※拠点区分ごとの前年度比較形式

資金収支計算書

[第一号第一様式]法人単位資金収支計算書
[第一号第二様式]資金収支内訳表 ※事業区分が一つの場合には省略可能
[第一号第三様式]事業区分資金収支内訳表 ※拠点区分が一つの場合には省略可能
[第一号第四様式]拠点区分資金収支計算書 ※拠点区分ごとの予算対比形式

事業活動計算書

[第二号第一様式]法人単位事業活動計算書
[第二号第二様式]事業活動内訳表 ※事業区分が一つの場合には省略可能
[第二号第三様式]事業区分事業活動内訳表 ※拠点区分が一つの場合には省略可能
[第二号第四様式]拠点区分事業活動計算書 ※拠点区分ごとの前年度比較形式

「計算書類」とは ⇒ 会計基準第1条第1項

社会福祉法人は、この省令で定めるところに従い、会計処理を行い、会計帳簿、計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下同じ。)、その附属明細書及び財産目録を作成しなければならない。(※収支計算書とは、資金収支計算書、事業活動計算書と」解釈します。)

「計算関係書類」とは ⇒ 会計基準第2条第1項

社会福祉法人は、次に掲げる原則に従って、会計処理を行い、計算書類及び附属明細書(以下「計算関係書類」という。)並びに財産目録を作成しなければならない。

「計算書類等」とは ⇒ 社会福祉法第45条の32

社会福祉法人は、計算書類等(各会計年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに監査報告(第四十五条の二十八第二項の規定の適用がある場合にあっては、会計監査報告を含む。)をいう。)を、定時評議員会の日の二週間前の日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならない。

2. 財務3表の関係 … 社会福祉法人会計における財務諸表の構造

3つの計算書類が、有機的に関係しています!!!

会計基準で定めている財務諸表は、貸借対照表、資金収支計算書、事業活動計算書です。これらに附属明細書と財産目録の作成を規定しています。

イ. 貸借対照表と資金収支計算書の関係(資金収支取引=支払資金を増減させる取引)

流動資産-流動負債=当期末支払資金残高の算式は、プラスの「資金」からマイナスの「資金」を控除しますが、この結果は、資金収支計算書の最終値(当期末支払資金残高)と一致します。

ロ. 貸借対照表と事業活動計算書の関係(事業活動取引=事業活動収益-事業活動費用)

~ 事業活動収益とは、純資産の増加をもたらす収入です。~
~ 事業活動費用とは、純資産の減少をもたらす支出です。~

貸借対照表は、資金収支計算書だけでなく、事業活動計算書とも関係します。企業会計が損益計算書と貸借対照表で構成されていることからすると、社会福祉法人会計の構造は実は複雑です。

【参考】資金の範囲

社会福祉法人会計基準の第13条に、支払資金の範囲として次の通りに定義しています。

資金収支計算書の資金の範囲

第十三条 支払資金は、流動資産及び流動負債 (経常的な取引以外の取引によって生じた債権又は債務のうち貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものとして固定資産又は固定負債から振り替えられた流動資産又は流動負債、引当金及び棚卸資産(貯蔵品を除く。)を除く。) とし、支払資金残高は、当該流動資産と流動負債との差額とする。

● 支払資金は、流動資産と流動負債の差額である ⇒ 上記の表の通り

● 1年基準により固定資産又は固定負債から振替えられた流動資産・流動負債を除く ⇒ 表示の問題で、実態は固定資産、固定負債であるので支払資金から除く

● 引当金を除く ⇒ 引当金は見越し計上であって、債務確定ではない

● 棚卸資産(貯蔵品を除く)を除く … 貯蔵品は支払資金に含める

⇒ 棚卸資産としては、「貯蔵品、医薬品、診療・療養費等材料、給食用材料、商品・製品、仕掛品、原材料」と定められています。貯蔵品以外は、購入や仕入れた時点で資金の支出は完了することになりますが、貯蔵品は消費した時点で資金の支出を認識します。従って、貯蔵品は消費した分だけ支払資金として資金収支計算書に計上します。

貯蔵品の仕訳

期末の仕訳:貯蔵品 / 事務消耗品費 ××××
(事務消耗品費支出 ××××)資金連動型の仕訳

※残った貯蔵品は来期以降の消費した時点で支払資金とます。

貯蔵品以外の棚卸資産の仕訳

期末の仕訳:給食用材料 / 給食費 ××××
(資金とは連動しません)